2005/11 | |||||||||
他の連中には申し訳ないが、文平は特別な存在だった。 文平という因縁の深い名前をつけたせいかも知れない。 (昔パパが生まれた時に祖父が私の名前の候補を二つ考えた、一つは今の私の名前、もう一つが「文平」) 甘える時には一生懸命甘えたけど、時々遠くを見つめて何かを考えていた。 動物的な中に理性的なものを感じていた。 文平はポッコリランドの王様だった。 情緒的にそう感じたのではなく根拠がある。 文平は六畳和室のポッコリランドをこだわることなく歩き回るが、 他の仔たちは文平の残した匂いの跡をたどる。 文平はポッコリランドの中の休み場所を時々変えたが、 そのたびに必ず他の仔たちも休み場所を変えた。
集団で暮らすフクロモモンガのリーダーは他の仲間たちに 自分の匂いをつけてグループの匂いとするようだが、 おのおの別のケージで飼っているポッコリランドでも 同様のことがあったように感じた。 だからか、ケージから脱走した弟のデンデンはいつも文平のケージに行って 挑発して戦いを挑もうとした。 (大きな声を出すからすぐに脱走がばれてケージに戻されたけどね) 1997年の5月に生まれた、といってもポーチの中の2ヶ月を遡って誕生日は1997年の3月だろう。 そして2005年10月29日まで8年と7ヶ月の生涯だった。 ぶんぺい、まだ赤ん坊の頃にパパとままと下関に遊びに行ったことがあったねえ。 ままがミルクを持って出るのを忘れて下関の街を探し回ったねえ。 バッグの隙間から関門海峡をまぶしそうにみていたねえ。 昔、外から帰ってきて靴ひもを解こうとしたら 靴ひもの上にケージにいるはずのぶんぺいがいてびっくりしたなあ。 寂しかったんだね、待ちきれなかったんだね。 ぶんぺいはお嫁さんがほしかったんだよね。 ままとも何度も話したけど実現しなかった。 今になって早くからそうしておけば良かったなんて考えてもおそいよ。 ほんとうにほんとうにごめんね、ぶんぺい。 ぶんぺい、そっちのくらしはどうだい? 病気は苦しかったねえ。 でも、もうみんなと一緒にあそびまわっているんだろうね。 声がとどくかどうか分からないけど ほんとうにほんとうにありがとうね、ぶんぺい。 |
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